2017年11月11日土曜日

備忘録:Role of parties in the vote distribution of proportional elections

Role of parties in the vote distribution of proportional elections
L.E. Araripe, R.N. Costa Filho,Physica A 388 (2009) 4167–4170

ブラジル(1998,2002,2006)およびフィンランド(2003)の比例代表制選挙の得票率の分布を調べた論文。過去の研究ではブラジル、インドでは票数の分布がカットオフのあるべき分布ということが知られている。データはオンラインで公開[9][10]

解析結果は、得票率の分布は指数1のべき分布。得票率vの候補者数N(v)はvが1/1000か1/10のレンジで1/vで振る舞う。

この論文では政党お分布への影響を調べるために、政党毎の平均得票率v0を求め、v/v0の分布を調べた。v/v0=1の近くではデータは似た振る舞いをするが、ブラジルは指数分布でピークがなく、フィンランドは対数正規分布でv/v0=0.15にピークを持つ。このように、スケール不変性、普遍性が失われた。



2017年11月10日金曜日

備忘録:A spatial analysis of county-level outcomes in US Presidential elections:1988-2000

A spatial analysis of county-level outcomes in US Presidential elections: 1988–2000
Jeongdai Kim, Euel Elliott, Ding-Ming Wang,Electoral Studies 22 (2003) 741–761.

アメリカの大統領選挙の4回分のcountyレベルデータ(1988-2000)を用いて民主、共和党の得票率の空間パターンを明らかにした。空間パターンとして、境界を接するcounty間をつなぐ場合と、通勤データで5%以上の率を占めるcounty間をつなぐ場合とを考える。空間パターンを計測するために、都市部からの民主、共和への得票率の変化を調べ、民主が高いというurban biasを確認した。1988年では差は1.9%だが、2000年では8.9%になっている。また、MoranのIという、隣接するcounyの得票率をcountyの得票率で線形回帰したときの回帰係数を求め、1988年の0.5から2000年の0.6まで上昇していることを示した。MoranのIをcounty毎に計算したときのLocal Moran's Iを求め、countyと隣接countyのMoran's Iが高ー高(HH)、低ー低(LL)などのパターンの空間分布を調べたところ、民主がHHだと共和はLL、逆も真(例外は1992のペロー候補のときだが、1996には消滅)。東部と都市部は民主、西部は共和というパターンが確認できた。境界はミシシッピ川(ミネソタからルイジアナ)。この傾向は西部22州、東部27州でのHH,LLでの得票率の変化からも確認できる。

また、各countyの共和、民主の得票数をcountyの人口、失業率、所得で回帰するモデル(issue-priority model)を導入し、失業率が民主党の得票数を説明すること示した。ただし、90年代に入ると、回帰係数は小さくなり2000年では有意ではない。二期目の政権の得票数に対する回帰モデル(reward-punishment model)については、データが少ないため結論が出せない。