2010年1月7日木曜日

はじめに+第2版の序文


D.B.Hausch, V.SY. Lo and W.T.Ziemba 編集の競馬研究の論文集 「Efficiency of Racetrack Betting Market」の要約です。経済学が専門ではないため、誤訳も多々あるかと思います。ご指摘を頂ければ幸いです。

第2版序文

目標は競馬市場の効率性に関する最新かつ包括的な論文集である。初版(1994年)が絶版になったころから、ヘッジファンドのような組織がそこに書かれたアイデアをもとに数百万ドルの利益をあげ、利益の総額は計100億ドルに上る。初版はカルトアイテムとなり、その希少性、内容、そして投資グループの夢がeBay やアマゾンでの古書の値段を数千ドルまでに引き上げた。第2版(2008年)も初版とこの序文を除いて同じである。2000年前後からの競馬市場の変化として重要なものは、以下の4点である。

1.賭け金に対する割り引きが一般になった。大量購入者への見返りとして始まり、通常の13-30%の競馬場の取り分が正味10%になる。

2.場外馬券売り場、他の投票方法からの投票の比率が現在では87%。50%の投票の結果がオッズに反映されるのはレース出走後。

3.1999年に始まったBetfairなどの賭博交換市場(betting exchanges)では、主催者に対してではなく他の賭博者に対して賭けることで、さまざまな馬券のオッズを固定することが可能となった。ギャンブラーはパリ・ミュチュエル方式でのオッズの変化というリスクから逃れることができる。さらに、売り(ショート)ポジションをとるこもも可能である。


4.Favorite-Longshot(F-L)バイアス(人気馬の実力が過小評価されてオッズが高く、オッズの高い弱い馬は実力以上に買われているというバイアス)については、その程度は近年小さくなっている。

また、過去の仕事に対する拡張も行われた。たとえば、123着のような連続した着順での確率(順序確率)の計算をHarvilleの公式よりもよい精度で与える仕事がある。