2010年1月11日月曜日
R.M.Griffith 1949 & 1961
Odds Adjustment by American Horse-Race Bettors
American Jornal of Psycology,62(1949)290-294.
競馬においてさまざまな馬のオッズとは賭けられたお金の総額に比例し、それゆえ社会的に決まるものである。一方、さまざまなオッズレベルの馬の勝ちの客観的確率は事後に勝ち馬の比率で決められる。オッズは心理学的な確率(の逆数)を表し、任意のオッズでの勝ち馬の比率は真の確率を計測する。両者の系統的な差は競馬における賭けという特殊なトピックに光を投げかけるだけでなく確率の心理学というより一般的な分野の理解にもつながるものだ。
データは1947年春の519レースと8月の867レースの計1386レース、
「勝ち馬の数×オッズ=そのオッズの馬の数」?を検証した。オッズは寺銭、切捨てなどを補正。左辺が馬の数を超えるならその(心理学的な)オッズは過大評価、以下なら過小評価。
結果は、左辺と右辺をオッズレベルに対してプロットすると二つのカーブはほぼ一致する。細かく見ると、オッズが小の部分で左辺が右辺の上、オッズが大の部分で左辺が右辺の下にくる。オッズが6.1でで交わる。
まとめ
(1)社会的に決まるオッズは平均して馬の勝率を正確に反映する。
(2)しかし、オッズが小さい部分では勝率の過小評価、大きい部分では過大評価がある。
(3)オッズが6.1で切り替わる。
(4)Preston and Baratta が大きな確率を過小評価、小さな確率を過大評価するする系統的な傾向を実験で検証したが、その切り替わる確率の値は5%から25%で(3)とも符合する。
A Footnote on Horse Race Betting,Transactions Kentucky Academy of Science,22(1961)22,78-81.
データは1949年5月、1960年8月のデータ。単勝オッズが3倍以下。
もっとも勝率の高い馬の勝率の過小評価の傾向は複勝の場合にもっとも顕著になるはずだ。
結果は、単勝のオッズが1.4以下の馬の複勝の馬券は過小評価され、寺銭、切捨てを考慮してももうかるレベル。1949年だと1ドルに対し6.15セント、1960年だと1ドルで2.4セントの利益。