Issac(1953)の原論分からはじめる。競馬ファンが真の勝率を知っているとし、期待リターンを最大にするとする。Issacはオッズへの競馬ファンの影響を考慮し、最適な賭け金を決定する天才的なアルゴリズムを開発した。
Issacのモデルの3つの発展:
(1)Issacはリスク中立を仮定したが、Beriman(1961)は対数関数の効用関数を仮定して、富の成長率が最大化されることを示した。
(2)勝率をファンダメンタルやテクニカルの手法で評価すること。
(3)Issacの単勝馬券での議論を複勝やExotic馬券の場合に拡張するために、複数の馬がある順序でフィニッシュする確率の評価方法。
(1)Kelly基準(1956)とは富の対数の期待値を最大化するものである。おのおのの期間でk種類の投資機会がおきうるとし、どれが起きるかの確率はiidとする。各期間後の富の対数の期待値を各期間で最大化する戦略の3つの重要な性質は(1)資本の漸近的成長率を最大化する(2)あるゴールに達するまでの時間の期待値を最小化する (3)長い期間だと、他の本質的に異なる戦略の成績をほぼ確実にうわまわる。また、資本の成長を最大化するのではなく、安全を最大化するように戦略を発展させることができる。投資の部分を減らすことで成長と引き換えに安全性が増す。
(2)勝率を評価する方法として市場価格の情報を見るテクニカルアプローチとファンダメンタルアプローチがある。Bolton and Chapman(1986)は馬、騎手、レース特性の情報で多項ロジットモデルを開発した。しかし、その勝ちの評価で利益を生む戦略を発展させる可能性はとぼしかった。Chapman(1994)はさらに頑張った。
(3)複勝やExotic馬券を扱うには複数の馬がある順番でフィニッシュする確率を評価する必要がある。馬の勝率を知っているとして、Harville(1973)は馬i(勝率Pi)と馬j(勝率Pj)が12フィニッシュの確率Pijの非常に単純な評価方法を提案した。
Pij=PiPj/(1-Pi)
この評価は、馬iが1着の条件下で馬jが2着の条件付確率が馬iがいない状況での馬jの勝率に等しいから来ている。Silky Sullivan問題の可能性を考慮していない。1着かそれ以外なら賞金がない着順でと考える馬がいて、こうした馬では公式は2着、3着率を過大評価してしまう。Harvilleは、公式が2着、3着率に対し逆F-Lバイアス、人気馬の23着率を過大評価、弱い馬の23着率の過小評価になることを指摘した。走破時間が指数分布、正規分布、ガンマ分布従うとしてHarvilleモデルを修正する試みが多数存在するが計算時間が膨大になり実用性に乏しい。