2017年11月10日金曜日

備忘録:A spatial analysis of county-level outcomes in US Presidential elections:1988-2000

A spatial analysis of county-level outcomes in US Presidential elections: 1988–2000
Jeongdai Kim, Euel Elliott, Ding-Ming Wang,Electoral Studies 22 (2003) 741–761.

アメリカの大統領選挙の4回分のcountyレベルデータ(1988-2000)を用いて民主、共和党の得票率の空間パターンを明らかにした。空間パターンとして、境界を接するcounty間をつなぐ場合と、通勤データで5%以上の率を占めるcounty間をつなぐ場合とを考える。空間パターンを計測するために、都市部からの民主、共和への得票率の変化を調べ、民主が高いというurban biasを確認した。1988年では差は1.9%だが、2000年では8.9%になっている。また、MoranのIという、隣接するcounyの得票率をcountyの得票率で線形回帰したときの回帰係数を求め、1988年の0.5から2000年の0.6まで上昇していることを示した。MoranのIをcounty毎に計算したときのLocal Moran's Iを求め、countyと隣接countyのMoran's Iが高ー高(HH)、低ー低(LL)などのパターンの空間分布を調べたところ、民主がHHだと共和はLL、逆も真(例外は1992のペロー候補のときだが、1996には消滅)。東部と都市部は民主、西部は共和というパターンが確認できた。境界はミシシッピ川(ミネソタからルイジアナ)。この傾向は西部22州、東部27州でのHH,LLでの得票率の変化からも確認できる。

また、各countyの共和、民主の得票数をcountyの人口、失業率、所得で回帰するモデル(issue-priority model)を導入し、失業率が民主党の得票数を説明すること示した。ただし、90年代に入ると、回帰係数は小さくなり2000年では有意ではない。二期目の政権の得票数に対する回帰モデル(reward-punishment model)については、データが少ないため結論が出せない。