2010年1月7日木曜日

Part 1:心理学的研究

競馬市場は投資家のリスク行動の心理学的な研究の場を提供する。Metzger(1985)が指摘するように、研究室での研究と比較して少なくとも4つの長所がある。
1.データが豊富で、バリエーションが豊か
2.賭け金の額が高く経済学的に無視できない
3.多様な情報源から莫大な情報を得ることが可能
4.さまざまな馬券のタイプ
競馬という場のの欠点は、オッズが多くの競馬ファンの投票(決断結果)の集積したものであって、個々の行動は通常分からないこと。単勝市場において強く安定なF-Lバイアスが報告されたが、最初に報告したのは心理学者のGriffith(1949)。

Griffith(1949)は単勝オッズが主観的(心理学的)勝率を表すと考え、あるオッズカテゴリ中の勝ち馬の比率が客観勝率を表すと考え比較した。この二つの確率に一貫して不一致が見られるならば、競馬市場での賭けという特殊なテーマだけでなく、より一般的な確率の心理学の分野に光を照らすことになると考えた。結論は、最終オッズは平均すれば勝率の正確な目安となるけれど、人気馬はシステマティックに過小評価され、不人気馬は実力以上に買われるというF-Lバイアスが存在する。

McGlothlin(1956)は、一日のレース毎の調査を行った。最終の2レースに関して通常のバイアスからのズレを発見。第7レースは、その日のメインレースだが、人気馬に対する過小評価がほとんどない。第8の最終レースでは、大人気馬は過小評価、中人気馬は過大評価、不人気馬は過小評価。理由は、最終レースでその日の負けを取り返し、勝者として家路につくための戦略のためと考えられる。その戦略では、人気馬のオッズではその日の損を取り返すのは無理で、適度な勝率とその日の損失をカバーできるだけの大きなオッズから、中人気の馬に票が集まってしまう。Ali(1977)はリスク選好の効用関数で、この戦略を説明した。

Metzger(1985)は他の心理学的な仮説を検証した。
(1)ギャンブラーの誤謬:人気馬が勝ち続けると、人気馬が過小評価になる
(2)結果のframingの検証:?
(3)馬番バイアスの迷信:不慮の事故には注意を払わず、内側の馬番を過大評価する